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Artist
discography
American
Guest
 

PSCR−6122
\2,000円
(w/tax)
2003.09.03. Release
スリーグレイセス
「ラヴ・イン・グレイス」


時を越える歌声・・・
忘れられぬあの日に。
  1. GALWAY BAY  アイルランド民謡
  2. 山のロザリア 詞:丘 灯至夫 曲:ロシア民謡
  3. AVE MARIA 曲:Franz Schubert
  4. IRISH DANCE [Instrumental] 曲:菅井えり
  5. IRISH LULLABY アイルランド民謡
  6. NEVER,MY GOT,TO THREE 詞:Sarah Flower Adams 曲:Lowell Mason
  7. 秋 詞:矢川澄子 曲:矢野顕子
  8. IRISH DANCE 詞:星野 操 曲:菅井えり

アルバムによせて・・・・・
私達(政江、操)の祖父はアイルランド生まれの航海士でした。その祖父Edmond Burkeが祖母である石井ムラと出会ったのは横浜です。イギリスからの航海中に負傷した祖父が担ぎ込まれた病院に祖母が看護婦として働いていたのだそうです。今から一世紀近くの昔、年号は明治でした。アイルランド人の航海士と日本人の看護婦の恋 … こんな素敵なロマンスを持つ祖父母の影響はとても大きく、見たこともないアイルランドへの憧憬は少女時代の私達の胸の中でいつしか果てしもなく大きなものになっていました。
10代の頃からハンコ(華子)はその様な私達と一緒に暮らしている中で私達以上にアイリッシュになっていました。云わゆるアイルランド気質、アイリッシュテンパーを一番持っているのはハンコかもしれません。
スリーグレイセスの活動を休止して、各々の結婚・出産・子育てに20年余の歳月を費やしました。活動を再開してから幸運なことに10数年。アイルランドへの三人の想いは深まり、私達が毎年開いているコンサートの二回目の時に披露させて頂いて以来、ステージで機会ある度にアイルランドの唄を唄わせて頂いています。

森本 政江 記
「スリーグレイセスを知っていますか?
    慰め そして 元気が聞こえてきます」

スリーグレイセスは日本で、いや今は世界でも、とても貴重な女声コーラスです。1958年に故・小島正雄氏のもとで結成され、2003年の現在も歌いつづけている、その存在はまことにうれしい。
アイルランドの血をひく森本政江、星野操の姉妹と、ソプラノの白鳥華子三人は洗礼を受けたクリスチャン、その生活感のなかで培われた音楽(ハーモニー)には気品と深い情緒が漂う。私は1960年代半ばにグレイセスと出会った。CM音楽を中心に数多の「うた」を歌ってもらってきている。
グレイセスはアイルランドの「エンヤの音世界」に関心をよせていた、私も機会があればグレイセスに「ア・カペラ・コーラス」へ挑戦してもらいたいと願っていた。
そんな折り、昨年「ブックM プロジェクト」がスタート、プロツールスを導入した小さなレコーディングスタジオが開設された。その環境を背景にしてスリーグレイセスのアルバム「LOVE IN GRACE」を企画、サウンドプロデユースとアレンジを「ア・カペラコーラス」に堪能な菅井えりさんに依頼、グレイセスと若い感性とのコラボレーションを実現した。アイリッシュの名曲を中心にした全8曲を約6ヶ月かけて「BOOK Mスタジオ」でレコーディングした。

グレイセスのリーダー森本政江の夫君祥夫氏は、元NHKの優れた音楽プロデューサーとして活躍された方、グレイセスの音楽性と活動の歴史を公私にわたり支えてくれた人だった。アルバムの中の「AVE MARIA」のコーラスアレンジは祥夫氏の手によるもの。祥夫氏はレコーディングが始まると間もなく病をえて入院された。
政江さんはレコーディングが完成する曲毎に病床の夫君に聴いてもらった。「IRISH DANCE」を聴かれた時にはとても元気に「いいね!グレイセスにはやっぱりアイリッシュの血がながれているよ」と、とても気に入ってくださったそうだ。政江、操姉妹の祖父の故郷アイルランドをずっと想っていたのだろう。その時から数日してグレイセスの歌声を抱いて森本祥夫氏はあの世へ逝ってしまわれた。

ジャズシンガーの大御所、笈田敏夫氏は78才となった今年の春も、大橋節夫氏とのジョイントコンサートを開いた、グレイセスはゲストとしていつも大先輩のもとでジャズのスタンダードナンバーを歌い共演していた。
グレイセスはアルバム「LOVE IN GRACE」が完成すると直ぐ父のような笈田氏にも恐る恐る聴いていただいた。「グレイセスのアルバムの中でこれが一番好きだな」と仰ってくれた。さらに「NEARER、MY GOD、TO THEE」はクリスチャンである三人のこころが滲み出ていて慰められると感激してくださったそうだ。
今年の秋、笈田敏夫氏も突然不帰の人となってしまった。
ずっとグレイセスを厳しく暖かく見守ってくださった天国のお二人が、いまも聴いてくださっているのだと想像するとグレイセス共々うれしくなる。
「LOVE IN GRACE」にはちいさなドラマが生まれていました。アルバムを手にした方の中にも「慰め」や「アイリッシュダンス」を踊る元気が生まれてくれるといいなと願っております。

ON・アソシエイツ音楽出版 大森昭男