聴覚の研究
【その3】耳を科学する〜『エリア39研究会』についてのお話し
     第2回◆メンバーの紹介と「バイノーラルヒアリング(Binaural-hearing)」
【その2】耳を科学する〜『エリア39研究会』についてのお話し
     第1回◆『エリア39研究会』の活動の発端・・・
【その1】耳を科学する〜『♪音感テスト』聴覚の機能と音楽的才能
 
【その3】耳を科学する〜

* * * *  [ 第2回 ] * * * *

メンバーの紹介と「バイノーラルヒアリング(Binaural-hearing)」
さて、今回はエリア39研究会の中心的なメンバーの紹介と第1回シンポジウムで取り上げた「バイノーラルヒアリング(Binaural-hearing)」について少し話をします。
その前に少しだけ、私達エリア39研究会の中心的な人物をご紹介しましょう。
エリア39研究会の中心的人物の小林院長です。小林院長は当研究会が発足した当時、神尾記念病院・副院長でしたが、現在は、小林耳鼻咽喉科内科クリニック院長としてご活躍しています。多くの患者に接する傍ら、ご自身の専門分野へのご研究も熱心に取り組まれ、そんな中から新しい医療器具の開発も共同で進めています。この他、小林院長と親交の厚い聴覚研究者の先生方との共同研究により、皆様に聴覚についてもっと知って頂くため活動を行っています。

1952年 東京生まれ。
日本医科大卒。医学博士。
神尾記念病院副院長を経て、
現在小林耳鼻咽喉科内科クリニック院長。
最近は開業医生活が忙しく、研究活動に時間がさけないのが現在の悩み。

「バイノーラルヒアリング(Binaural-hearing)」、日本語では両耳聴。
左右の耳で音を聞くことをこのように呼びます。
皆さんは左右二つのスピーカーがなければステレオを楽しむことができないことをご存知だと思います。同じように、耳が二つなければステレオを楽しむことはできません。
二つの耳で聞くことによって音の方向感が生まれます。それにより音の世界に深みが出てきます。右から音が聞こえてくると、右耳と左耳に音の波が到達する時間にわずかの差が起こります。同じように音の大きさにもほんのわずかな差ができます。
波の位相差も起こります。このほんのわずかな差をもとに、私たちはどこから音が来るのかを判断するのです。バイノーラルヒアリングによる音の方向感のメカニズムについては完全に解明されていませんが、右耳、左耳各々に聴力検査でも異常のない場合でも、音の方向感がわからなくなることがあります。これは脳の病気によって起こると言われています。
人の聞こえは鼓膜からはじまる音を伝える仕組み、つまり、耳と脳の働きで成り立っているのです。
「聞こえ」を考えることは脳の働きを考えることに他なりません。エリア39研究会は、聴覚の仕組みを通して人間の脳の働きを考える研究会ということになります。
先ほど、耳が二つなければステレオを楽しむことができないと話しました。ところが、片方の耳しか聞こえない人でもステレオを楽しむことができます。それは聞こえない人があることをしているからです。そのあることとは何だと思いますか?答えは次回に・・・
(次回に続く)
 

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