聴覚の研究
【その3】耳を科学する〜『エリア39研究会』についてのお話し
     第2回◆メンバーの紹介と「バイノーラルヒアリング(Binaural-hearing)」
【その2】耳を科学する〜『エリア39研究会』についてのお話し
     第1回◆『エリア39研究会』の活動の発端・・・
【その1】耳を科学する〜『♪音感テスト』聴覚の機能と音楽的才能
 
【その2】耳を科学する〜
『エリア39研究会』についてのお話し


◆『エリア39研究会』とは・・・?
エリア39研究会は、人間の感覚機能のひとつである『聴覚』を、その機能の分析や「脳」との係わり、或いは「音楽・映像」と聴覚の繋がり等について、そして併せてそれらがもつ「医学や先端技術」と社会との接点を見つめることによって、広く「人と文化」について考えようとする『研究会』なのです。
そこで私は今回改めて、これまでに自分が関わって来た様々な「人間の聴覚に関する研究」のひとつとして、この「BOOK cafe」のサイトに於いて少しずつ回数を重ねながら、種々の『聴覚テスト用のメソッド』を利用した聴覚試験なども皆様に実際に試して戴きつつ、私たちの『エリア39研究会』の活動の一端を、ご紹介させて戴くことに致しました。
(更新のペースとしては、二週間くらいの間隔を予定しています。)

* * * *  [ 第1回 ] * * * *

『エリア39研究会』の活動の発端・・・
私たちの活動は平成2年2月、私が当時神尾記念病院副院長 現 小林耳鼻咽喉科・内科クリニック院長の小林先生と知己を得たことに始まります。

私はかねてより人間の音の感覚認知の仕組みに興味があり、また自分達の日頃の音響制作活動に対して、医学・生理学的見地からのアドバイスをして頂ける方をどなたか求めていましたので、さっそく小林院長と聴覚研究のお仲間方に、私の聴覚に対する考えをぶつけてみることにしたのです。
小林院長をはじめとする医学界の先生方は、その際に私たちが参考までにお見せした最新の音響技術に驚嘆されました。

また、私は聴覚心理、聴覚機能を中心とする大脳生理学に関する話にも興味を抱き、同じく私と共同で音響制作事業を行っていたエレクトロ・サウンドの田崎氏を交え、平成2年3月、私たち共同の活動がスタートすることになったのです。

人間は文化を創造する動物と言われ、それを担う感覚機能及び、その統合を司る中枢神経系の役割は極めて重要です。そして医学・音楽や映像など、様々な分野のテクノロジーの進歩が、聴覚機能の解明に新たな光を投げかけています。また多くの人たちが聴覚の働きに関心を向けはじめています。

しかし従来、感覚機能としての聴覚や脳の働きに関心のある様々な領域の人たちには、共に議論し合う場がなく、ただそれぞれの領域で閉ざされた形でしか議論がなされていなかった・・・というのが現状でした。
心や文化にまで迫るそれらの研究が、これからも多くの意義ある研究成果を生み出すということは、もはや限られた専門家だけで果たせるものではありません。
医学をはじめとする専門的な学問、音楽や映像をはじめとする様々な技術開発に携わる方々、さらには多くの一般社会の人々の力を借りることが不可欠となっています。

そこで『エリア39研究会』は、私たちの大切な感覚機能、特に聴覚機能について、異なる分野の垣根を越えて、有意義な議論を行う場をつくることを目的に活動を始めたのです。
(次回に続く)
 

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