さて、話しを「第7回上海国際水族館会議」に戻しましょう。
参加45カ国、参加者700名、従来のIAC記録を上回る会議で、上海水族館がメイン主催館になっていました。
会議では、中国の動物保護局が20,000種以上の水生生物を対象に、現在100,000平米の敷地に200種の生物保護に乗り出したという報告があり、子供たちの歌う“Make the ocean more beautiful“が会場に響く中、この上海国際水族館会議のテーマは、まさしく『環境保護』でありました。
最初のスピーカーは、この「大人の水族館」でもお馴染みの、「モントレー水族館」の館長でした。
水族館の役目は『環境保護』というものを、対策、教育という側面で如何に未来につなげていくか、その役割、業績などに於ける持続可能な水族館の果たすべき意義と重要性についての指摘がなされました。
- 海洋保護区の規制に関して、法律的な領域に於いても参画する。
- シーフードについては、ウォールマートなど、スーパーマーケットの協力を得る。
- 海の回復には、国を巻き込んだ啓発運動を展開する。
- 水生生物の保護については、従来の水族館での保護活動のみならず、来館者たちとのリレーションシップの重要性、そして教育に於けるネットワークつくりなどを挙げていた。
『これらの事が成し遂げられるためには、我々自身が「海洋」と「生物」の保護のモデルになる「水族館」でなければならない』・・・いつも、世界の水族館の「お手本館長」発言は極めて重く、今暫くは、魚介類の食事を控えめにしている私ではありました。
5日間の会期中、様々なプレゼンテーションがありましたが、その中で「鮫」のプレゼンをした水族館は、中国最古の水族館である、これまたこのサイトでも以前にご紹介しました「青島水族館」だったのです。ちなみに中国には水族館が現在67館、多分今後5年以内に100館に近づくでしょう。
青島水族館は1932年にドイツ租開区に建設された中国最古の水族館です。
剥製も多く、サメの肌やクラゲの観察に関するネット配信活動への取り組みに対するプレゼンテーションがあり、『フカヒレを食べるのを止めよう』というスローガンのもとに、特に子供を対象とする「鮫保護」の重要性から、フカヒレを拒否するための教育や観察クラブの運営活動についてのプレゼンテーションをしていました。
このプレゼンテーションを聞いた時、私自身の印象としては、中国の食文化に深く根付いている「フカヒレ」料理を禁止するための教育などというものは、果たして現実的に可能なのかどうか?・・・実際のところ、何とも疑心暗鬼ではあったのです。
がしかし、この稿のはじめの方でも述べましたが、この二年後にあたる今年、中国の国内航空で見た機内CMによって、この国も本気で自然環境を考え始めたんだなぁ・・・と、改めて痛感させられたのです。 |