今日の天気 : [ ]
用務員のフジムラです。
実習に入り始めた大島君はとても緊張気味。いつも何か不安そうな面持ちで教室に入っていくようですね。
まあ、田中先生は音に厳しいお方だから大島君の気持ちも解らないではないですがねぇ。 今日、教室を掃除に行った時、こんな会話が聞こえてきたのです。
「ProToolsのセッションをただ作れば良いという訳じゃあないよ。誰が勝手に作れと言ったんだ。」
と、田中先生のキビシイお言葉。
「ぁあ、あの、作業の前に準備しておかないと駄目ですよね….。」と大島君。
「大島君、ProToolsで扱っているオーディオ信号のフォーマットは何だね?。」
「はい、サンプリング周波数44.1KHzの24Bitと48KHzの24BitのAIFFかWAVです。」
「それから…?」
「ぇえーと。…。」と、答えに戸惑う大島君。
「それだけじゃあないだろう!サンプリング周波数は96KHzの時だってあるし、192KHzだってあるんだ。通常の作業の場合、今はサンプリング周波数は48KHzか 96KHzが主流だし、今日のリサの作業(※1)は96KHzでマスタリングしているんだから、セッションをサンプリング周波数96KHzの24bitで用意しておかなければいけないだろう?何も考えずに勝手に作っておけばいいというものではないんだ。」
「わっ、わかりました…。」
「ちなみにアルバム一枚作ると48KHzだったら、収録曲数によるけど、おおよそ40GB位のデータ容量になってる場合が多いよ。それを考慮してHDDの空き容量を考えておかなければいけないな。」と田中先生。 大島君は無言のまま、固く頷きました。
田中先生は付け加えます。 「今現在、音楽スタジオ業界の通例では、オーディオデータにデフラグをかけてはいけないという考えになっているんだな。デフラグかけて音声データが再現されずに壊れてしまったらどうしようもないからね。だから作業用の(内部)HDDは、作業後いつもいらないデータを消して綺麗な状態にしておかなければいけないんだ。わかるな?大島君。」
「はい…。気をつけます。」
うーん、新入生の大島君には、学ぶことが山ほどあるようですねぇ。まあ、私は難しい事は解らないので大島君の健闘を祈っておりますよ。
※編集部補足 ※1…小野リサさんのニューアルバムのミキシング作業
今日の天気 : [ ]
皆さん、こんにちは。音響正調塾の用務員を担当することになりましたフジムラです。
正調音響塾が始まって日々、清掃作業にいそしむ私ですが、今日こんな出来事を体験いたしました。
「大島クン、おはよう。」
掃除機片手に教室に入ると、大島君が勉強中の様子。
「あっ、おはようございます、用務員さん。」と大島君。
「ごめんなさい。自習していたんだね。掃除をしようかと思ったけど、また後にしますね。勉強の邪魔をしちゃあ悪いからね。」と私が言うと、
「そんなことないです。少し休憩しますんで構いませんよ。そうだ僕も手伝います。」
と言って、私が持ってきた掃除機の電源ケーブルをコンセントに繋ごうとしました。
「大島クン!。そっちじゃないよ。掃除機は赤い方のコンセントに繋いでは駄目だよ。それは117Vのコンセントだから、日本の電気製品を繋いだら、壊れちゃうかもしれないよ。」
それを聞いてビックリした大島君はコンセントのコードを掃除機に格納してしまいました。
「それは117Vの電圧がきているので、赤く色分けしているんだよ。海外仕様の製品を繋ぐときに使うってこの前、先生から聞いたばっかりなんだから...。」
「コンセントの形は一緒なのに117Vなんですか?どうしてそんな中途半端な値なんですか?用務員さん。」
それを聞いて私は返答に困りました。
「うーん、私には詳しくわからないよ...。」
田中先生、助けてください!。
田中です。
確かにコンセントの形状は同じだけれど、電圧117Vというのはアメリカ合衆国の仕様で、電源周波数は60Hzで運用されています。
日本国内の場合、一般家庭に供給される交流電圧は100Vだけれども、静岡県の富士川と新潟県の糸魚川を結ぶ線で二分された境界で、東日本側は50Hz、西日本側は60Hzの周波数で送電されているよね。
これは明治時代に関東の電力会社がドイツ製の発電機を採用し、関西の電力会社はアメリカ製の発電機を採用したことから始まっているんだけどね。
世界中の国々はそれぞれ違った電源電圧で運用されているから、海外製の機材を使うときには機器それぞれに見合った電源を確保することが大切だね。
きれいな音を得るためには、きれいな電源が必要なんだ。そうしないとその機材の本来の性能が発揮できないからね。
大島君、世界各国、本当にいろいろな仕様で運用されているから自分で調べてごらんなさい。
大島です。
ヨーロッパでは多くの国が220V、 アメリカでは117Vが一般的であることから考えると日本は電圧が比較的低い事が分かりました。
他にも中国は220V、韓国は100Vと220V、インドは230Vを使用しているみたいです。
当然スタジオで使われる機材は日本製ばかりではないので、様々な国で作られた機材に対応することが求められるわけですね。
それとスタジオの壁コンにはアースが別になった、3極タイプが多いのも音質と関係があったりするのですか?
スタジオの壁コンにはアース付きのものが多いのは、極性やアースが不完全であると音質に悪影響があるためです。
日本ではHOTとColdの2極コンセント(2P)が多数であり、Cold側にアースがされているのだけれど、見た目だけでは極性を正しく判断することは難しいね。そこでスタジオでは3極(3P)タイプの、アースが専用ピンで出ているものを使用して、視覚的にも間違えることなく極性を気にしないで良いコンディションの電源が得られるようにしているんだよ。
余談だけど最近のパソコンや携帯電話などは電源アダプターに変圧機能がついたものが発売されてきているから、海外に持って行ってもそのまま使えるものが増えてきているね。でも必ずアダプターに100V~240Vと記載してある事を確認することが大切だね。
電源についてはまだまだ話すべきことがあるけど、それはまた今度折をみてゆっくりと授業するから。
田中です。
今日から「田中信一の正調音響塾」をスタートするが、生徒の大島君、用務員のフジムラ君、これからよろしくお願いします。
今はまだ3人だけの塾だけど、生徒は大島君一人。マンツーマンでビシビシ行きますよ!
初めに生徒の大島君、自己紹介をして貰おうかな。君は確か出身は愛知県・・・?
ハイ! 名古屋市出身です。音楽が好きで上京してきました。
とにかく、頑張りたいと思います。よろしくお願いします!!。
おお、そうか!・・・それなら「目標」を設定しそれに向かい最大限の努力をすることが必要だね!
これから、エンジニアの基本を学ぶのは当たり前だけど、個人の技術的なことばかりではなく、僕の授業では音楽を感じる心も学んでもらうよ。これは教えるものではないからね。
それと、フジムラ君には、掃除以外にも、様々な取り組みをお願いすることになりますが、よろしくお願いしますね。大島君の援護射撃を頼みます。
田中先生、こちらこそどうぞ宜しくお願いいたします。掃除などの雑務は私にお任せ下さいませ。それと大島君、ワタシャー、勉強は教えられないけれど、相談事があったら何でも言ってくれて構わないからね。まあヨロシクお願いしますね。(^0^)
それでは覚悟はよいかな?
それじゃ、始めようか!!