#21 パッチ盤について[アナログ調整卓]

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お久しぶりです。大島です。
業務用のスタジオの多くはパッチ盤が設置されています。これは各機器の接続を素早くできるし、自由度の高い接続でフレキシブルに作業を行えるといったメリットがあります。デメリットとしてはダイレクトに接続するより音質が若干劣化するらしいことや、接触不良を起こしやすいなどですが、その便利さや、自由度の高さから、設置するケースが多い様です。
業務用スタジオでのアナログ・オーディオ回線には多くがバンタムパッチベイを採用しているようですが、これはフォンジャックより小型のジャックで、少ないスペースでパッチ盤を設置できるといったメリットがあります。バンタムプラグは、ミニプラグ、タイニーテレフォンプラグ、4.4mmプラグといった呼び方もされます。パッチ盤の機能としては各機器の接続、チャンネルの入れ替えであり、僕も作業では毎日のようにパッチによって結線する訳ですが、なにせたくさんのパッチがあるため、ミスをしてしまう場合も時々ありますので、いざ録音を行うとなった時に、音がレコーダーまで来ていない時は、一番最初にパッチに間違いが無いか確認するようにしています。
通常は上段が信号の出力で下段が信号の入力となっており、前面からのパッチ接続がなくても上段と下段が接続されている仕組みをノーマライズと言うそうですが、このノーマライズの方式にもフルノーマル、ハーフノーマル、ダブルノーマルの三種類の接続方式があるので、その使用には注意が必要です。


これらとは別に上下が全く接続されていないものをストレート接続といいます。これは前面側にパッチプラグを差し込んだ時のみ信号が流れるようになっています。
以下はイメージ図です。





フルノーマルは出力側にプラグを差し込んだ場合、信号は差し込まれたプラグへ流れ、下段へは信号は送られなくなります。入力側にプラグを差し込んだ場合は、上段からの信号はキャンセルされ、前面のプラグから信号が入力できます。前面側にパッチ接続をした時は必ず上下の信号接続が遮断される仕組みとなっています。





これに対し、ハーフノーマルは出力側にプラグを差し込んだ場合は、上段からの信号は遮断されないので、信号を前面側出力プラグと背面側の両方へパラ出しする事が出来ます(パラレル接続)。そのため音声を取り出してエフェクト処理する時などのように、信号を元の音声とミックスする作業の多いレコーディングスタジオの多くはこのハーフノーマル接続が多い様です。出力された信号にエフェクターを接続し、そのエフェクトアウトを入力側に接続すれば、インサートを行う事が出来ます。このように入出力の両方にパッチをした場合にはフルノーマル同様、上段からの信号は下段には流れません。





ダブルノーマルは、出力側に単独でプラグを差し込むとハーフノーマル同様、前面と背面側にパラで信号を送ります。ただし前面の入力側に単独でプラグを差し込んだ場合でも背面側と上段の出力回路に信号が流れる仕様となっているようです。そのため、信号の入力だけを行う場合は前面の出力側にダミープラグを差すなどして、対処しなければなりません。このダブルノーマルは接点の構造上、接点不良などが起こりにくいというメリットがあるらしく、接触の不具合による音声遮断を恐れる放送局などで採用されているようです。





ちなみに音響塾のスタジオでは上段がアウトプットで下段がインプットのパッチ盤と、イン、アウトが逆のパッチ盤が混在しており、接続方法においても、フルノーマルとハーフノーマルが、接続機器によって混在されています。スタジオによって様々な仕様のパッチ盤が導入されている事は多いようですので予めその仕様は把握しておく必要があります。
確実なパッチが行えるようになる事はアシスタントとしての第一歩であると常日頃感じています。