#22 ナレーション録音について・1[声の録音]

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大島です。今日は講演会用のナレーション録音を行いました。スタジオでナレーションを録音する場合、アナウンスブースを使用しますが、ブースもスタジオによって広さや音響特性が違う為、理想の録音を実現するには多くの経験とノウハウが必要になってきます。音響塾のブースは比較的小さく、響きがデッドなため、残響音の少ないナレーターさんの直接音を録音する事ができます。この場合、広く、残響のあるブースでの録音に比べてパワーに欠けますが、声やマイクの持つ特徴を素直に収録できるように感じました。
 マイクポジションも非常に大切で、ナレーターさんの性別や、声の特徴、話し方の特徴によっても変わってきます。男性であれば胸から口元のあたりで声が響いており、女性の場合は口元から鼻のあたりで声が響いているため、それを目安にセッティングするようにしていますが、当然ナレーターさんによっても声の特徴は違うので、マイクの振動板を何処に向けるかは多くのノウハウが必要かと感じています。
少し話は逸れますが、今回の録音では自分でセッティングから録音まで行った訳ですが、アシスタントとしてナレーション録音に参加する場合はマイクセッティングをアシスタントに任せるエンジニアの方が多い様に日頃感じています。これは責任重大で常日頃から先輩エンジニアのマイクアレンジを頭に入れ、そこから録音される音の特徴を記憶して、ノウハウを積み重ねていく必要があります。マイクセッティングをまかされる事で、作業に対する参加意識は強くなるのです。
 実際のナレーション録音の流れとしては、ナレーターさんをブースに案内すると共に自分もブースに入り、挨拶を行いつつ声の特徴を把握し、それをマイクセッティングに反映させます。そして、ブース内のキューボックス、キューランプ等の説明を行い、「では、よろしくお願い致します」と一声かけてコントロールルームに戻ります。その後、テストで原稿を読んでもらい、HAのゲインで録音レベルをとります。レコーダーがアナログの時代はなるべくS/Nを稼ぐ為に大きなレベルで録音していた様ですが、ProTools等、デジタル録音を行う場合にS/Nはそれほど気にならないので、EQ等の整音時の音処理でのレベルの増幅分を意識して、ProToolsでのピークメーターが-10dB程度に振れる具合で録音するようにしています。
 また録音時は人間相手の事なので気配りが大切になってきます。テイクが重なってきた時は休憩をしてもらったり、仕上がりの方向性に迷って場がピリピリしている時や、エディット作業などで待たせている時などは一声かけてリラックスしてもらう場合もあります。
 録音を終えたらマイクの吹かれによるポップノイズリップノイズ、息継ぎのブレス等を消して音声波形を整えていきます。収録後のこの作業は逐一、ProTools上での手作業によるものが多いので、待ち時間を少なくし少しでも早くできる様、日頃から練習し時間短縮をする努力が大切だと思っています。




その後、EQ、コンプを中心に音を仕上げていく作業となります。
 一通り整音が終わったら、その音色をチェックしてもらいつつナレーションのタイミングや間を調整していきます。
 声の録音についてはまだまだ書ききれない事や分からない事が多いので、こまめにレポートしていきたいと考えています。